離婚と年金分割

離婚時年金分割制度に関して

離婚をした場合に年金に影響がありますか?
離婚をした場合において、夫婦であった者の一方が年金分割の請求をすると、厚生労働大臣により厚生年金の標準報酬の改定又は決定が行われ、結果として、離婚をした夫婦双方の年金支給額に増減が生じることになります(厚生年金保険法78条の2、以下「法」という。)。
国家公務員共済年金、地方公務員共済年金、私立学校教職員共済年金についても同様です。
国民年金については年金分割の対象とはなりません。ただし、第3号被保険者であった者は、厚生年金に加入するのでなければ、第1号被保険者への種別変更手続をする必要があります。
年金分割制度にはどのような種類がありますか?
合意分割という制度(法78条の2)と三号分割という制度(法78条の14)があります。
合意分割と三号分割では、当事者、請求者、合意の要否、対象期間、按分割合などに相違があります。
  合意分割 三号分割
当事者 第一号改定者
(減額される者)
第二号改定者
(増額される者)
特定被保険者
(減額される者)
被扶養配偶者
(増額される者)
請求者 夫婦であった者の一方 被扶養配偶者
合意の要否 当事者の合意又は家庭裁判所の決定が必要 不要
対象期間 婚姻期間 特定期間(平成20年4月1日以降で、特定被保険者が被保険者であり、かつ、被扶養配偶者がその配偶者として第三号被保険者であった期間)
按分割合 双方の対象期間標準報酬総額の合計額に対する第二号改定者の対象期間標準報酬総額の割合を超え、二分の一以下の範囲 特定期間における被保険者の標準報酬月額及び標準賞与額の二分の一
合意分割の按分割合について、裁判所はどう判断しますか?
特段の事情がない限り、0.5です(広島高裁平成20年3月14日決定家裁月報61巻3号60頁、名古屋高裁平成20年2月1日決定家裁月報61巻3号57頁等)。
特段の事情を認め、「保険料納付に対する夫婦の寄与を同等の0.5とみることは相当でない」として0.3と定めた裁判例があります(東京家裁平成25年10月1日判例時報2218号69頁)。
請求手続に関して
  1. 民間会社等の被用者である間の厚生年金について分割請求を求めるときは厚生労働大臣に対して
  2. 国家公務員共済組合または地方公務員共済組合の組合員である間の厚生年金について分割請求を求めるときは各共済組合及び各共済組合連合会に対して
  3. 私立学校教職員共済の加入者である間の厚生年金について分割請求を求めるときは日本私立学校振興・共済事業団に対して、それぞれ請求します(法2条の5)。これらについては、合意分割、三号分割いずれも同様です。
按分割合はどのように決まりますか?
合意分割については、当事者間で合意するか、家庭裁判所が決定するかいずれかで按分割合を決めます(法78条の2第1項)。三号分割については按分割合は当然に0.5となります(法78条の14第2項及び第3項)。
請求手続きに必要な書類は何か?
標準報酬改定請求書を提出します(厚生年金保険法施行規則第78条の11第1項)。添付書類として、
  1. 年金手帳その他の基礎年金番号を明らかにすることができる書類
  2. 戸籍謄本等当事者間の身分関係を明らかにすることができる書類
  3. 按分割合を定めた書類(公正証書の謄本、調停調書の謄本、審判の謄本、判決の謄本等)等が必要となります(同条第2項)。

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