解決事例

金銭を一切請求しない旨を定めた離婚調停が成立した後で,元夫に対する子供への扶養料が認められた事案

【事案・事例】

依頼者様本人(妻)が裁判所に対して離婚調停を申立てたところ,依頼者様が子供の親権者になるとともに,子供の養育費については何も決めず,逆に名義の如何を問わず金銭その他一切の請求をしない旨の条項(いわゆる「清算条項」)を内容とする離婚調停が成立してしまいました。

しかし,その後,依頼者様(元妻)が元夫に対して子供に対する生活費を払ってほしいと希望された案件です。

【解決】

子供を申立人として(依頼者様は法定代理人),裁判所に対して扶養請求調停の申立をしましたが,裁判所での調停は成立せず,審判の手続になりました。

審判で裁判所は,離婚調停における清算条項は,離婚調停成立後に子供に対する養育費・扶養料請求を一切負担しないことを示すとは言えず,離婚調停成立後に子供が扶養料の支払いを求めることが禁止されるものではない,と判断しました。その上で裁判所は,子供が20歳になるまでの月々の扶養料を子供に支払うことを元夫に命じる旨の審判を下しました。

【弁護士の視点・コメント】

裁判所の離婚調停で調停が成立する際,当事者間で調停条項で定めるもののほか,何らかの債権債務がないことを確認し,名義の如何を問わず金銭その他一切の請求をしないという条項(いわゆる「清算条項」)が調停調書に記載されることがあります。

養育費について定めずに清算条項を定めた離婚調停を成立してしまうと,後日養育費の請求を希望しても,本件のようにトラブルになってしまうことがあります。かかるトラブルを避けるためにも,離婚調停の段階で早めに弁護士と相談することが重要です。

また,清算条項を定めた離婚調停が成立した場合でも,本件のように子供を申立人とする扶養料の請求をして子供の生活費を確保することができる場合もあります。あきらめずにご相談いただければと存じます。

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